こんにちは。かくけいです。
前職での経験をもとにお墓というものについて少しお話しさせていただきたいと思います。


前職では石材店として、お墓の販売をおこなっていました。
お墓の販売というのは、墓地をご案内し墓石の工事注文をお受けするというものです。
どちらかというと、お墓の存在に否定的な考えを持つ私が、お墓の購入をお考えの方の参考になればと思い記事を書かせていただきます。
実際に私の実父が亡くなった際には、あるお寺の永代供養墓にお願いしました。いわゆるお墓は作りませんでした。同業者の中にはそういう方も数多くおられます。本質が分かっているからかもしれません。
お墓をお求めになる方は大きく分けて三種類
お墓をお求めになる方は大きく分けて三種類の方々にわかれるかと思います。
①ご不幸があり必要に迫られて(手元に遺骨がある)
②将来のために(近い将来か、遠い将来かの差はあります)
③田舎など遠方のお墓を移したい(遺骨の移動を改葬といいます)
以上の三種類。
②や③の方は時間に余裕があると思いますので、ゆっくりご検討いただければいいかと思います。
①の方は気持ち的に余裕がないかもしれません。
なぜなら、四十九日までに納めなければいけない、と思い込んでおられる方が非常に多く見受けられるためです。
この思い込みは正解ではないように思われます。



四十九日で忌明け
忌明けとは喪に服する期間の終了を意味し、故人の魂が旅立つ日とされており、忌明け以降に納骨しましょうとされています。
忌明け以降すぐにおさめなければいけないというわけではなく、一年後でも二年後でももっと先でも結構です。
ご自宅に置いておくのであれば、ずっと置いておいても違法ではありません。
田舎の親戚などに早く納骨しないと成仏できないじゃないかとせっつかれることがあるかもしれません。
焦ってあとで後悔するような選択をするよりかは、じっくりと時間をかけて納得のいく選択をした方がいいかと思います。
そもそも、早く納骨しないと成仏できないということはありませんし、当然ながら成仏できませんでしたという話しも聞いたことがありません。
納骨の時期について、上記はあくまでも一般的な仏教でのお話です。
常日頃、信仰している宗教や宗派がないのであれば、四十九日というものにとらわれる必要もないかと思います。
火葬場からその日のうちにという方もおられます。
それに墓石工事はだいたい三か月ほど期間がかかります。
あぁそれと、霊園の見学などに行った際に「急いでいる」ということは口にしないほうがいいですよ。
それを聞いた営業マンはがむしゃらに攻撃してきます。
申込みするまで帰さない、帰ったとしてもその後電話攻撃、訪問攻撃の嵐。
「別のところで決めました」といっても攻撃の手は緩まないかもしれませんのでご注意ください。


墓石工事の期間は約三か月
基本的には工事期間はおおよそ三か月と心づもりしておいた方がいいかもしれません。
打ち合わせや入金、図面の作成などもろもろの手続きで約一か月。
多くの場合は内金をいただいてから作業が進んでいきます。
申し込みから二週間以内に半金を振り込むなど。
石材店側からすると、何らしかの金額が発生してからお客様の都合でキャンセルとなった場合、とりっぱぐれの無いようにリスクを少しでも少なくするために内金というものを頂戴するケースが多いと思います。
その入金確認ができてからとなるはずです。
ちなみに完成してちゃんとできているなという確認をしてもらってから残金をお支払いいただくという形が多いと思います。
大規模霊園などではある程度形状が決まっている場合もあるので、図面の作成はそれほど時間がかからないかもしれません。それでも、石材問屋との確認作業で数日はかかると思います。

石材を加工して主に中国から船便で日本にやってくるのが約一か月。
ひとりの方のためだけに大型輸送船が動くわけもなく、ある程度まとまった数量で輸送されると思います。
私の知っている限りでは一週間に一回。
ですので、毎週決まった曜日にまとめて出荷されるはずです。
日本の港についてから検品し、霊園や石材店の石材置き場に輸送されます。

施工に一か月。
墓所面積によって違うでしょうが、都心部の今どきのお墓であれば数時間あれば施工は完了するはずです。
大きくて重い積み木のようなものと考えていただければ想像しやすいかもしれません。
施工についてはいろいろな余裕を考えて一か月としています。
たとえば、30件のお墓を建てる予定が入っている月があるとして、一日に一件づつ施工するとして30日かかります。
天候不順の日もあるでしょう。
まぁ実際には雨が降っていても施工はできるのですが、重量のある石材を雨の中で扱うと滑りやすくなり危険ですし、接着剤なども乾きにくくなります。
そのため仮設テントなどを設営して作業をすることになりますが、手間がかかるので急ぎでなければ雨の場合は作業を行いません。
できあがったとしても、注文通りにできているか不具合はないかの確認を行います。
ここで不具合があったら対処をしなければなりません。
傷はないか、シミはないか、注文した通りの寸法か、指示した通りの彫刻が施されているかなど。
そのためにも一か月ほどの余裕は必要になってきます。
といった具合でもろもろ余裕をみて約三か月です。
ただし急ぎの場合は一か月ほどでの完成も可能です。
申し込んでその日のうちに内金を振り込み、墓石の形状はごくごく普通、彫刻の内容もイラストなどを入れずにごくごく普通、施工は急ぎの手配で、とすれば可能だと思います。
ただ、こういう急ぎの仕事ってミスが発生しやすいのでできることなら受けたくないというのが本音です。
そもそもが急ぐ必要なんてないんですから。
間違った知識からの思い込みで急かされているだけです。


お墓を建てるべき時期
私がお客様に説明していた内容としては、お盆、お彼岸、年末年始を一つの区切りとし納骨のスケジュールを立てるというもの。
四十九日を目指すというのは到底無理があり(亡くなって数週間経ってから相談に来ている時点で四十九日が間近)、百か日(約三か月)を目指しませんかとする。
で、今の時点から約三か月後に
春彼岸(3月)、お盆(8月)、秋彼岸(9月)、年末年始(12月)
これらの区切りを絡めていきます。
一月末や二月末に完成できそうなら、完成次第納骨し、三月の春彼岸にはご家族でお墓参りができますよというかたちに持っていく。
年内に納骨して新たな気持ちで新年を迎えてはどうですかとか。
実際に春彼岸などに納骨は困難です。
霊園側ではそういう繁忙期は納骨や法要をご遠慮いただいているケースが多いと思います。
お寺も忙しくされているでしょうから法要を受けてもらえないでしょうし。
一番の理由は、お墓を買いに来られるお客様が多いので、対応できないというものだと思います。
霊園、石材店としては、お墓を売ることが第一の目的であり、すでにお墓を買った方に対するサービスは二の次だからです。
みんながみんなというわけではないでしょうが。


最後に
私個人のおすすめとしては、一周忌を目途にされるといいと考えています。
お墓をあらたにお求めになるような方でしたら、一周忌法要はおこなうでしょうから、一度にまとめて法要をおこなった方が効率がいいと思います。
開眼法要(かいげんほうよう)、納骨法要、一周忌法要。
お寺様への負担、親族への負担、ご自身への負担。
負担というのは、日数的なものや金銭的なものであったり。
ご不幸があってからしばらくの間はさまざまな手続きが必要になると思います。
そういったものから解放されてから検討しだして一周忌くらいに納骨というのが色々な負担が軽くなると思います。
そもそもがお墓が必要なのかということから含めて、お墓というものをご検討されるといいと思います。
今、手元に遺骨があるからお墓が必要という考えではなく、お墓を持ったとして、あとあと誰が墓守をするのか、遺骨をお墓以外で供養する方法はないのかなども考えてみるといいと思います。
お墓をこれからとお考えの方に、元石材店という立場から少しでも参考になるような有益な情報をお伝えできればと考えています。
それでは、また。
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