こんにちは。かくけいです。
私はタクシードライバーに従事しています。
タクシードライバーという職業は社会的地位は低いのですが、その職に就くためにはいくつかの関門があります。
そのうちのひとつであるタクシーセンターでの講習についてご案内いたします。
神奈川タクシーセンター
私が通ったのは、神奈川タクシーセンター。

住所は神奈川県横浜市中区日ノ出町二丁目130番地。
最寄駅は京急日ノ出町駅。
平戸桜木道路を南下して二つめの信号を過ぎ、三つめの信号の手前の路地を右に入ったあたり。
詳しくは神奈川タクシーセンターのホームページでご確認ください。
タクシーセンターの役割
タクシーセンターの役割は大きく分けて5つあるそうです。
①指導→実際のタクシー乗り場などに赴き、ドライバーに注意を促すそうです(例えば、客待ちのタクシーの列が長すぎる等)
②苦情・要望→クレームを入れるお客様の中には、その会社に直接連絡しても内々でうやむやにされてしまいそうだということでタクシーセンターに連絡される方もおられるそうです
③乗り場の保守・新設
④試験(「法令、安全及び接遇」「地理」)→講習を行い、試験を実施する。
⑤運転者証の発行・登録→試験に合格した者に運転者証を発行し登録する。運転者証がないとタクシードライバーになれません。実際に乗務している間も助手席のところに掲げられています。
数日間の講習を受けて、最終的には「法令、安全及び接遇」と「地理」の試験に合格しなければいけません。
「法令、安全及び接遇」の試験は、よくよく考えれば合格するんじゃないかなと思われるような内容です。
講習の内容をきちんと聞いていれば問題ないと思います。
問題なのは「地理」の試験。
東京、神奈川、大阪の中心部でタクシードライバーに従事するためには、この「地理」試験に合格しなければいけません。
講習
一時限50分、休憩10分の繰り返しで、朝9時から夕方17時までみっちり講習があります。
ちなみにお昼は11:50から13:00まで。
朝は8:30にならないと開錠してくれませんので、あまりにも早く到着しても入れませんのでご注意ください。
それと遅刻も厳禁です。
入室させてもらえませんのでご注意ください。
午前中に三時限、午後四時限。
これが三日間続き、教官となる方がいろいろな項目について説明してくれます。
運転免許の更新などで見るようなビデオを視聴することもあります。
「実車率=空車距離÷総走行距離」というものがあり、会社はこの数字を参考にしてますよとか。
ちなみに、2018年の11月の都内の平均で46.7%。
同時期で神奈川県京浜地区は43.4%、神奈川県湘南県央地区は51.4%なんだとか。
湘南県央地区は流し(路上を走行してお客様を探すこと)はあまりせず、駅待ちが多いからだとか。
指標を表す数字としては乗車回数。
一日に何件くらいお客様をお乗せするかというもの。
先ほどと同様に2018年の11月の都内の平均で28.0回。
神奈川県京浜地区が27.8回。
一日の走行距離は都内の平均で235km、神奈川京浜地区で218km。
一年を通じて一番忙しいのは12月。
忘年会シーズンということなのでしょうね。
あとはタクシー運転手のメリット。
①歩合制ということもあり、がんばれば頑張った分だけ評価される→普通の仕事では、いくら頑張っても報われない、評価されないというケースもある。
②時間的余裕→残業はない。当然サービス残業はない。休日出勤もない。
③人間関係→普通の仕事なら嫌な上司と同僚と一日のほとんどを過ごさなければいけない。
④年齢→健康であれば他の仕事に比べると高齢になっても働ける。
⑤差別的なものがない→男性女性の差別がない。年齢による差別もない。
⑥仕事の組み立ての裁量がある→ある程度、個人の裁量に任される。休憩時間。どこで営業を行うか。などなど。
そういった「法令、安全及び接遇」についてのことを三日の午前中まで。
で、三日目の午後は「地理」について。
講習として「地理」の配分が少ないですが、試験の難易度としては雲泥の差です。
講習をすべて受講すると講習終了証をいただけます。

この講習終了証がないと、「法令、安全及び接遇」と「地理」の試験を受験することができません。
「法令、安全及び接遇」試験
「法令、安全及び接遇」の試験の難易度は、比較的ひくめです。
「道路の曲がり角やカーブの手前では十分に速度を落とす」、これが○か×か。
「踏切の手前では止まらないといけない」、これが○か×か。
講習を受けていなくても、まぁなんとか分かりそうな問題です。
とはいっても、いざ試験を受けるとなるとビビります^^;
試験中は、眼鏡や老眼鏡以外は一切机の上に出してはいけない。
筆記用具は貸与したもののみ使用可能。
携帯電話などの電子機器の音が鳴った時点で退場。
トイレなどに立った場合でもその時点での採点。(再入場禁止)
結構厳しいです。いざ挑むと、心配とは裏腹にちょっと悩んだのが二問くらい。
ただ、すぐできても30分経過しないと退席はできないとのこと。
ようやく30分経過して、解答用紙を提出。
全ての受験者が退席すると、そこで終了。
法令15問、安全15問、接遇15問の合計45問の試験で、80%の36問正解で合格です。
逆に9問までは間違っても大丈夫ということになります。
結果を待つ。
しばらくすると試験官が現れ、全員合格の旨を伝える。
ちょっとびびっていたので一安心。
「科目合格通知書」を頂戴して、この日は終了。

「地理」試験
いよいよ「地理」試験。
タクシードライバーになるにあたって、最大の難関と言っても過言ではありません。
東京、神奈川、大阪でタクシードライバーになるには必要な国家試験です。
これに合格しなければ登録証が与えられないというものです。
試験内容としては、主な施設(区役所や警察署、病院や大学など)の最寄り駅を答えるものが15問、主な施設から町名と付近の主な道路を答えるものが15問、主な施設を白地図から探すものが5問と5問、全部で合わせて40問あり、8割以上32問の正解で合格というもの。
逆に8問までは間違えていいというものです。
合格率は40%ほどと言われているまぁまぁ困難な試験です。
長年その土地で生まれ育った方でも結構難しいと思います。
例えば、横浜市役所の場所はなんとなく知っていても、何区の何町か、最寄駅は、付近の主な道路は、というのを答えるのは困難かもしれません。
横浜市役所は、中区港町、関内駅、みなと大通りとなります。
これが、横浜市、川崎市、横須賀市、三浦市から出題されます。
横浜市のことだけ知っていても合格することは困難です。
主な施設については、事前に通知されており、横浜市から92、川崎市から40、横須賀市・三浦市から36、あわせて168の中から出題されます。
丸暗記できれば問題ないのですが、なかなか難しいです。
自分の住んでいる区の区役所、警察署は行ったことあるでしょうからイメージしやすいのですが、行ったことのない場所はなかなか難しいです。
私は、神奈川県内で数回引っ越していますので、その住んでいた辺りはなんとなく分かりました。
前職での仕事がらいろいろな役所などに訪れることも多かったので、まぁまぁイメージできました。
でも、車で行った場合、最寄り駅のことは考えませんし、何という名称の道路を走っているかなんて考えたこともありませんでした。
近年ですと、カーナビを頻繁に利用しておりましたので、なおのことです。
「地理」試験に挑むにあたって、私の勉強方法としては、市販の地図(2,000円くらいするやつ)に施設の場所に付箋を貼っていき、そのページを映像として記憶するというもの。
それとあとは語呂合わせです。
川崎区役所は京急川崎駅、宮前区は宮前平駅と覚えやすいのですが、幸区役所は矢向駅でどちらも「コウ」と読める、高津区は溝の口駅で昨年の台風で川が氾濫し修繕に「たかくつく」、多摩区は向ヶ丘遊園駅で「たまたまむこうが」、中原区は武蔵小杉駅で中原中也とムサコはなんとなくかっこいい、と無理やり覚えこませました。
施設としては、京急川崎駅、溝の口駅、向ヶ丘遊園駅周辺に集中していたので、地図をビジュアルとして記憶。
道路は13号、14号、15号、府中道路などが中心なので刷り込ませました。
横須賀市・三浦市は四つほどの駅に集中しているので、こちらも地図をビジュアルで。
200番台の道路は横須賀市と三浦市だけ。
数字の重なる道路はなかったので、国道、県道の区別はせず。
横浜市は、区の位置関係などはだいたい把握していたので、あとは道路を叩き込みました。
環状一号線はベイシェラトン、133号は県庁といった具合に、この道路が解答群にあれば施設はこれしかないというものも多かったのでそれらを集中的に。
あとは名称と駅名が同じようなところは後回し。
例えば、こどもの国はこどもの国駅というように。
海沿いは奇数の357号。
こどもの国は139号でサンキュー。
神奈川運輸支局は12号で車検のためにワンツー。
といった具合。
自分なりに覚えられる工夫を施し、無理やり詰め込んでいきました。
で、挑んだ結果、無事に合格。
自己採点では満点です。
頑張りました^^v
その足で登録事務所(同じ建物にあります)にも赴き、運転者証を発行してもらいました。

この「地理」試験って、私の考えるに、びっくりするくらいのおバカさんと努力をしない者と人の話を聞かない者を排除するためにあるのだろうなぁと思います。
裏を返せば、それなりに努力すれば誰でも合格できる試験です。
人の話を聞かないというのは、試験前にこういうことをしてはいけませんよという注意事項を聞いていない方々が非常に多い。
試験中に携帯電話はオフにしておき、もしも何らかの電子音がした場合は即不合格。
防寒着などは自分の席から離れた机の上に置いてください。
持参したカバンは自分の席の椅子の下に置いててください。
筆記用具は貸出するもののみを使用するので机の上には何も置かないでください。
試験開始の合図があるまで問題用紙には触れないでください。
これらの簡単な注意事項を聞いていない人が非常に多い。
まぁそういう人はおおむね不合格になっているようです。
私が受験した際は21名受験し、13名の合格でしたので約6割の合格率と高かったようです。
最後に
まじめに取り組めば、それほど困難なものでもありません。
ちなみに、タクシードライバーになるためには、このほかにも二種免許取得のための自動車学校通いと運転免許試験場での試験があります。
そのためにも、タクシーセンターでの講習を些細なミスで期間延長になるのは避けましょう。
タクシーセンターでの試験の受験料は「法令、安全及び接遇」試験3,400円、「地理」試験3,400円かかります。
勤務する予定のタクシー会社が負担してくれるということが多いようですが、それでも不合格による再試験の場合の受験料は個人負担になると思います。
できれば一度で突破することが望ましいと思います。
金銭的な問題もありますが、勤務する予定のタクシー会社としても今後の予定がずれることになるので迷惑が掛かりますし、ご本人としても一日でも早く一人前になりたいでしょうし。
それでは、また。
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